パカコネ◆個人企画【夢劇】

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東京インソムニア『アンダーランド・テイルズ』に合わせた個人企画です。
鳩子/碓井シャツライターにこの企画を利用して発注することが出来ます。

イベント終了後も設定をご利用いただけます。


ざっくり説明すると、「ダイバーがなんらかの物語・シチュエーションの役柄に当てはめられてしまうナイトメア。衣装やIAも見かけが一部変化して、ストーリーに従わないと夢魔に襲われるが、役柄に従いすぎるとやがて自分がダイバーであることも忘れてしまう……」という内容です。

夢での配役を楽しむもよし、シリアスに戦闘するもよしです。

PCさんのご都合に合わせて内容のアレンジも歓迎です。

発注の際は、発注文の冒頭に【夢】とご記入ください。

ご検討いただけると嬉しいです。よろしくお願いします!


●物語の世界

「姫様、こちらを」

 ふわりとヴェールを被せられて、はっとする。ほんの一瞬、意識が途切れていた気がする。

「あら、……あら?」

 不思議に思ってあたりを見回す。取り囲むのは、お仕着せのドレスを着たにこにこ顔のメイドたち――もふもふとした体毛に特徴的な長い耳は、ウサギのそれだ。なにかおかしいような、おかしくないような。頭上ではクリスタルのシャンデリアが輝き、飾り格子の大きな窓からは石造りの尖塔が見える。

 姿見に映る自分は、純白のウェディングドレスを身に纏っていた。上半身はタイトなデザインで、立体的な薔薇の刺繍が繊細な陰影を作り出している。腰のくびれから艶のあるトレーンが伸び、銀糸の蔦模様が煌いていた。足を包むのは、ガラスの靴。

「よくお似合いですわ」

 賛辞に笑みを返すも、どこか居心地が悪い。

「王子が心待ちにしておいでです、シンデレラ姫」

 シンデレラ――私は、そんな名前だっただろうか。

「さあ、お早く」

 促されれば違和感はぼんやりと霧散してしまう。流されるままに廊下へ出て、大きな扉の前に立った。

「あの、私……」

「緊張なさっておいでですの? 何の心配もいりませんわ」

 その場を離れようとした途端、ぎくりとするような強さで腕をつかまれた。兎メイドのにこやかな表情は変わらないのに、その手からは敵意が伝わってくる。

 従え、抗うな――不可視の圧力に胸が苦しくなる。身を任せれば、きっと楽になるのだろう。けれど、代わりに何か大事なものを失う気がした。頭が痛い。

 私は、私は誰。味方はどこ。私には頼れるものがあったはず。

「シンデレラ姫の御成ぁ~りぃ~」

 晴れがましい楽の音と共に、衛士が大扉を開いた。祭壇に向けて伸びる赤い絨毯。華やかに着飾った男女。そして――。

「お待ちしておりました、シンデレラ」

 純白の衣装に身を包んだ新郎をみて、目を瞠る。そこに立つのはタキシードを着た兎でも、絵本で見た王子でもない。

 黒い髪に黒い瞳。ヒールのある靴を履いた自分と並ぶと少しばかり低くなってしまう背丈――差し出された掌を両手で掴んだ。

「姫、幸せにするよ……!」

「静ちゃん! 撤退よ」

 シンデレラ――否、ドリームダイバーの一人、鳥居 |環《たまき》が叫ぶのに、祝福ムードにあふれた式場は瞬時に刺々しい敵地へと変貌する。だがもう環は恐れなかった。己が何者であるか思い出したからには、脱出するのは造作もない。

 ガラスの靴を脱ぎ捨てると同時に純白のドレスが消え去り、褐色の肌が露わになる。長い裾の代わりに薄絹と銀の髪をなびかせて、環はIAを出現させる。巨大な首飾りが光背の如く環の背に浮かび、輝く。

「黄金の理よ、夢に蓋をして」

 殺意が殺到する直前、手を繋いだ二人はふっと浮かび上がるようにして悪夢を脱したのだった。


 環が目を覚ますと、向かいのベッドで同じく起き上がった倉知 静が眼鏡を掛けているところだった。彼は環の幼馴染で、侵蝕対策室に勤める職員だ。

 侵蝕が活性化していると見られる東京地下迷宮の下見を行ったのだが、予想以上の危険性が確認されてしまった。

「静ちゃん、大丈夫?」

「た、環ちゃん……」

 静は頷いたが、様子がおかしい。顔色が赤くなったり青くなったり忙しない。与えられた役柄を捨てる前に無理矢理脱出したから、不調が残っているのかもしれない。

 環の独断で悪いことをしてしまったが、あのまま自己を失って悪夢に取り込まれたり、夢魔にタコ殴りにされたりするよりはずっとマシだろう。

「今の悪夢は……」

「シンデレラと王子様の結婚式だったわ。私たち以外、みんな兎だったけれど」

 ジューンブライドね、と環は微笑んだが、事態は笑い事ではない。

 いかなる精神汚染か、ダイブした途端にダイバーであることを忘却し、物語の登場人物になりきっていた。脚本に従えば夢から出られなくなるし、逆らえば夢魔に襲われる。

「事前に知っていてもアレを防げるかどうか……『生命の水』が効くと良いんだけど」

 ぶつぶつと呟く静をよそに、環は解いていた髪を一つに結び直す。ダイブしてそう時間は経っていないはずだが、喉が渇いていた。

「お仕事の前に、お茶しましょ。美味しいの淹れるわね」

 カプセル式のカフェマシンだから|失敗《ハズレ》はないわ、と笑って環は立ち上がった。


◆登場NPC

鳥居 環(鳩子担当)

https://alpaca-connect.com/world/world1?cId=0000003010

倉知 静(碓井シャツライター担当)

https://alpaca-connect.com/world/world1?cId=0000003090

相関組ませて頂いたので、さっそくお借りしました!


◆内容

原則、ナイトメアにダイブ中のシーンから始まるノベルです。

おまけノベルは大体文字数アップオプション扱いになります。

ナイトメアにおいて、ダイバーは《物語の役柄》を与えられて自己が曖昧になり、外見や服装もある程度役柄に合った形へ変化して見えます。

役柄通りに振る舞えば物語は穏やかに進行しますが、次第に本来の自分を見失い悪夢に囚われてしまいます。逆らえばダイバーの自分を取り戻せますが、他の登場人物に扮していた兎の夢魔が襲ってきます。

バッドステータス解除系スキルを使用することで本来の自分を取り戻せますが、時間経過とともにまた暗示の影響を受ける可能性があります。


◆楽しみ方の例

パラレル的な配役

コミカル調の異性装や変装

シリアス調の、自己喪失危機からの脱出など


◆発注文での必須事項

1:企画タグ【夢劇】

2:悪夢のモチーフとなる物語またはシチュエーション

3:PCの役柄や衣装

上記を記入した上で、通常通りPCの台詞や心情、希望する展開などお書きください。

合わせの場合は、発注文の冒頭に企画タグに続けて【グループタグ】をご記入ください。


◆モチーフとなる物語

A:シンデレラ

B:不思議の国のアリス

C:任意の物語・シチュエーション(ご指定下さい)


◆発注文記入例

【夢劇】【グループタグ】

A シンデレラ

ボロボロの服を着ている

継母と姉にこき使われているシーン

(なんで私がこんな!! 私を誰だと……あれ、私って、誰だっけ?)

舞踏会の夜、留守番を言いつけられてキレた拍子に自己を取り戻し、魔法使い役になっていた仲間と協力して夢魔を倒す。

「こき使われた分、ぶちのめしてやるんだから!」


◆備考

合わせは五人まで。

PC以外の登場人物(夢魔)はみんな兎です。

企画内容をもとにナイトメアの設定などをアレンジしてくださってもOKです。

通常攻撃の概念がないため、適宜、スキルの取得と設定をお願いします。

快勝、辛勝、大きな負傷、スキルによる中断、バッドエンド、 いずれも歓迎です。夜の姿のイラストがある場合は、参照画像に設定して頂けると助かります。

ご検討宜しくお願い致します!


◆NPC

原則ノベルには出ませんが、「シングルノベルを頼みたいがPC一人でのダイブだと不都合なのでついてきて欲しい」みたいな同行のご希望があれば適宜対応します。

鳥居 環

https://alpaca-connect.com/world/world1?cId=0000003010